– アジアの女性身体はいかに描かれたか

日本学叢書 4
アジアの女性身体はいかに描かれたか 視覚表象と戦争の記憶 

北原 恵 編著

978-4-7872-3352-3

 

アジア・太平洋戦争時、アジアの女性身体にはどのようなまなざしが注がれたのか。また、女性美術家はどのような活動をしたのか――100点を超える絵画・写真から、アジアの女性たちを取り巻いていた植民地主義やジェンダーの力学を浮き彫りにする。

 

目次

“世界のどこかで私を待っている人”へ――「日本学叢書」刊行にあたって 川村邦光

はじめに 北原 恵

第1部 女性美術家は帝国日本をどう生きたのか

第1章 戦時下の日本の女性画家は何を描いたか――長谷川春子と赤松俊子(丸木俊)を中心として 小勝禮子
 1 一九三七―四一年、日中戦争期の女性画家
 2 長谷川春子の履歴と戦時下の「従軍」活動
 3 新発見された長谷川春子の戦時下の絵画三点
 4 女流美術家奉公隊結成とその活動
 5 赤松俊子(丸木俊)の戦時下の活動
 
第2章 戦争下の美術家・長谷川春子――《ハノイ風景》(一九三九年)の絵を中心に 北原 恵
 1 長谷川春子の「移動」と戦時下の足跡
 2 絵画《ハノイ風景》(一九三九年)
 3 一九四〇年~国内での活動へ――女流美術家奉公隊
 4 境界侵犯と象徴秩序の回復――女性戦争画家の戦後

コラム イトー・ターリ 嶽本新奈

第2部 植民地と/の女性表象の政治性を問う

第3章 日本統治下の植民地の美術活動 ラワンチャイクン寿子
 1 植民地の官設美術展覧会
 2 地方色の両義性
 3 同質性――近代性の一つのありようとして

第4章 植民地期韓国のモダンガールと遊女 金惠信
 1 モダンガール――新たな伝統の器
 2 遊女の表象――よみがえる古

第5章 近代化のための女性表象――「モデル」としての身体 児島 薫
 1 近代化と裸体画
 2 「伝統服」の女性像による自己表象
 3 「東洋」の表象としての女性像の創出
 4 日本人画家の台湾先住民女性像

コラム ユン・ソクナム 小勝禮子

コラム レベッカ・ジェニソンとの「上空対談」 嶋田美子

第3部 「慰安婦」表象は戦争の記憶をどう語るか

第6章 古沢岩美が描いた「慰安婦」――戦争・敗戦体験と「主体」の再構築 北原 恵
 1 パンパンと原爆の表象
 2 朝鮮人女性・妓生
 3 中国戦線での慰安婦表象
 4 《なぐさめもだえ》

第7章 日本映画にみる〈在日〉女性と朝鮮人〈慰安婦〉、その声の不在 高 美哿
 1 日本映画における在日女性表象
 2 『日本春歌考』
 3 映画のなかの慰安婦表象

コラム アルマ・キント 中西美穂

終 章 ジャガイモの花 琴仙姫

研究動向 植民地時代美術を中心にした韓国近代美術研究の動向 金容澈